第24回参院選(2016) 選挙当日雑記
選挙当日を迎えました。
今回の選挙は改憲勢力が参院でも2/3に達するかどうかが注目されました。
野党側はこれを阻止する戦略として32ある一人区で統一候補を擁立しました。
※関連記事に2/3の可能性と一人区の状況を記していますのであわせてお読みください。
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第24回参院選(2016)がはじまります
http://h09.cocolog-nifty.com/blog/2016/06/2016nen.html
第24回参院選(2016) 公示日所見と勝敗のカギ
http://h09.cocolog-nifty.com/blog/2016/06/post-3563.html
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しかし関連記事で書いた通り、野党側の統一は形式上整えていたもので中身が伴っているとはとても言い難いものでした。
<接戦区の共闘状況>
32ある一人区のうち(メディアにもよりますが)接戦区と言われた選挙区が最大13あります。(19は与党当確濃厚)
青森県 民進(社)
岩手県 無所属(民・共・社・生)
宮城県 民進(共・社・生)
山形県 無所属(民・社)
福島県 民進(社)
新潟県 無所属(民・共・社・生)
山梨県 民進(共・社)
長野県 民進(共・社)
三重県 民進
滋賀県 民進(共・社)
愛媛県 無所属(民・社)
大分県 民進
沖縄県 なし※沖縄は特殊状況として例外扱い
沖縄は特殊状況として外しますが、残りの12選挙区のうち4党が共闘できたのは3つだけで、残りはどこかしらの党が欠けています。中には民進党単独が2つもあり、まともに自公と戦えるはずの選挙区でこの体たらく。つまり喧伝されているほど「野党4党共闘による統一候補」は中身を伴っていませんでした。
<改憲勢力2/3を阻止の可能性は最初からほぼ0%>
私はこの一人区の勝敗を7勝25敗(野党側からみた数字)と予想しました。先の激戦区のうち野党が勝つと分析したものに○を記します。
青森県
岩手県○
宮城県
山形県○
福島県
新潟県
山梨県○
長野県○
三重県○
滋賀県○
愛媛県
大分県
沖縄県○
※残りの19は全て与党候補が当選と予想
最終獲得議席数は比例区の配分にも左右されますが、私の試算では合計167議席。圧倒的多数(2/3)の162議席より5議席上回ります。
つまり野党側は接戦区といわれる13の一人区で全勝しなければ改憲勢力2/3の阻止はできないということです。
接戦区で全勝することが絶対条件になっている時点で可能性はほぼ0%です。
<改憲勢力2/3を阻止するために絶対的に必要だった「複数人区での共闘」>
では改憲勢力2/3は最初から可能性がなかったのでしょうか?
答えはNoです。
野党側が32の一人区で統一候補を擁立したことが話題となり、何やら一人区だけが勝敗のカギだと思われている方も多いでしょう。しかしそれはとても大きな間違いです。
一人区であろうが、複数人区であろうが、(また比例区でも) 争っているのは同じ議席です。仮に一人区で0勝1敗でも、3人区で2勝1敗ならば2勝2敗です。また一人区を3つ勝って3勝0敗でも、3人区で0勝3敗なら3勝3敗です。
当たり前のことですが、どの選挙区でも1議席の重みは同じで、一人区に特別な比重があるわけではないのです。
今回野党4党は「改憲勢力2/3の阻止」という目標を掲げました。そして行った戦略が「32の一人区での統一候補」です。
実はこの目標と戦略は合致していません。
改憲勢力というのは自公のことではありません。自民党、公明党、おおさか維新、日本の心を大切にする党の4党です。ですから改憲勢力2/3の阻止するにはこの4党の議席を減らすことが目標になるはずです。
ところが32の一人区というのは自公のみです。お維やこころは複数人区で議席を争いますから、複数人区でも野党4党は共闘して議席を争わなければ「改憲勢力2/3の阻止」には近づきません。
しかし野党4党は複数人区で共闘どころか何の戦略もとらずに選挙に挑みました。
この戦略ミスこそ改憲勢力2/3阻止の可能性がほぼ0%になった最大の理由です。
共闘によって勝敗の変わる可能性のあった複数人区
北海道3人区(1勝2敗か2勝1敗)→戦わずして敗退
東京6人区(2勝4敗か3勝3敗)→野党の票が割れてお維に議席献上
大阪4人区(0勝4敗か1勝3敗)→野党の票が割れて「自公おお」の独占
兵庫3人区(0勝3敗か1勝2敗)→野党の票が割れて「自公お」の独占
福岡3人区(1勝2敗か2勝1敗)→戦わずして敗退
※勝敗は野党側からみたもの
※これ以外にも広島や神奈川で逆転される可能性のある複数人区があります
ここで4人程度議席を獲得しておけば、「一人区における激戦区13で全勝が絶対条件」というようなことはありませんでした。
もちろん比例区の配分なども影響するので絶対ではありませんが、それでも30~40%程度改憲勢力2/3の阻止の可能性はあったと思います。
<どうして野党4党は戦略ミスを犯したか>
この答えははっきりしています。
「ワザと」
です。
野党4党は改憲勢力2/3阻止といいながら、実はそのつもりなど最初からありません。彼らは阻止どころか改憲をさせる補助的な役割としてワザと負けるのです。
これは今回の選挙に限った話ではありません。参院選に限っていえば、野党が分裂して第三極(旧維新、みんなの党)が生まれたところから改憲勢力2/3は計画され着実に実行されていました。
2012年以降、3回の国政選挙(2012衆院、2013参院、2014衆院)でずっと自公が大勝しているので、国民は自公を支持していると思っているかもしれませんが、そうではありません。
自公は小泉郵政選挙であった34%の支持率は減り続けており、2012年の第46回衆院選では23%まで落ち込んでいるのです。


2012年の衆院選(旧民主党・野田総理による消費税増税解散)で自民が支持率を落としながら大勝したのは、旧民主党がそれ以上に負けたからです。小選挙区制度というのは一番による総取りシステムなので、相対的に一番であれば支持率は低くでもいいのです。上の図を見れば、支持率と得票議席数が極端にかい離することがはっきりわかります。
そしてこの時ブレークした第三極(支持率は自民党単独より上)が改憲勢力2/3につながります。
自公だけでは2/3に届きません。
自公の支持率が上がっているならともかく、上記のように下がっている現実では絶対安定多数が限界で、特別多数(2/3)は絶対無理なのです。
そこで別の勢力をでっち上げました、それが第三極(旧維新やみんなの党)です。
第三極を支持したのは「旧来型の自公政治は戻りたくない、しかし旧民主党にも失望した、共産には入れたくない、棄権もしたくない、未来のために新しい日本の政治を望みたい」という人たちです。そこには改憲への期待などほぼなかったと言えるでしょう。
第三極はその後期待ほどの成果を上げられずに尻つぼみとなりますが、これも予定通り。
何が予定通りかって?
第三極は政権を取るのが目的ではなく、改憲勢力として2/3をクリアするためだけにでっち上げただけですから、必要な議席さえ得られればさっさと解体していいのです。それがみんなの党、結いの党、維新の会、維新の党、おおさか維新、民進、にほんのこころを大切にする党、次世代の党、たちあがれ日本、日本創新党、太陽の党・・・という訳のわからない統廃合です。
第三極を支持した国民の意思とは関係なく、2013年の参院選、2014の衆院選で獲得した議席のうち改憲勢力2/3に必要な議席数だけが計算したかのように積みあがっているのです。
そして完成をみるのが今回の参院選です。
改憲勢力は既に必要な数を持っており、今回の選挙でよほどのことがない限り2/3をクリアすることが見えています。しかし野党がまともに共闘して挑んでくると安心はできません。何しろ自公は支持率が上がっていないのです。野党がグズグズしているからこそ与党でいられるだけなのは上の図からもわかると思います。
そこで与野党は裏で相談しました
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野党 「いくらなんでも何もしないわけにいかないから野党統一候補で戦いますよ」
改憲勢力 「仕方ありませんな。まぁ少し負けても2/3には届けばこちらはかまいません」
野党 「わかってます。野党が協力して戦ったふりだけできればいいんです」
改憲勢力 「まともにやられると2/3に届かない可能性が出てくるからそのへんは加減してくださいよ」
野党 「もちろんです。一番力を入れるのが可能性のない19の一人区。そして接戦できる13の一人区は足並みをそろえません。これでいかにも必死に戦っていることをアピールできます。しかし複数人区は共闘しませんから、こちらが共倒れになって改憲勢力候補を当選させるよう配慮します」
改憲勢力 「野党4党が戦っているふりだけして、実際は可能性を0に調整する手加減をしているなんて、馬鹿な国民にはわからないでしょうな」
野党 「へ、へ、へ、その通りです。 あ、こちらへの褒美もお願いしますよ。何しろこれだけグズグズ何もしないと本当に不人気なんで、手加減してもわらないと勝てないんですよ。ほら、2012年衆院選の野田元首相や2014年衆院選の岡田現民進党代表のように」
改憲勢力 「わかってます、わかっています。特定のところには公明の推薦をつけず票はまわします。おおさか維新など野党が不利になる第3の刺客候補もぶつけません。こちらの候補者も落選前提で若手ですしね」
2012衆議院選挙・千葉4区考察①野田氏の得票経過は異常か?
http://h09.cocolog-nifty.com/blog/2013/01/20124-8ecf.html
2012衆議院選挙・千葉4区考察②公明創価学会票はどこへ行ったか?
http://h09.cocolog-nifty.com/blog/2013/01/post-6a75.html
民主党代表・岡田克也という男①
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民主党代表・岡田克也という男③
http://h09.cocolog-nifty.com/blog/2015/09/post-696c-1.html
民主党代表・岡田克也という男④
http://h09.cocolog-nifty.com/blog/2015/09/post-696c.html
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