民主党代表・岡田克也という男④
さて、もう一度直近2回の衆院選における三重3区の状況を確認します。
第46回(2012年)衆議院議員総選挙 三重県第3区
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当 岡田克也 59 民主党 前 126,679票 64.1% ○
落 桜井宏 56 自由民主党 新 54,903票 27.8% ○
落 釜井敏行 30 日本共産党 新 16,009票 8.1%
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第47回(2014年)衆議院議員総選挙 三重県第3区
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当 岡田克也 61 民主党 前 120,950票 64.0% ○
落 嶋田幸司 40 自由民主党 新 53,659票 28.4% ○
落 釜井敏行 32 日本共産党 新 14,293票 7.6%
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確かに岡田氏がダブルスコアで勝っており、没落する民主党としては異例中の異例ともいえる強さです。
では三重3区の比例票はどうなっていたのでしょうか?
■比例票では民主系より自公系の票が多いという事実
実は三重3区において、比例得票で民主系は自公系に負けているのです。
第46回(2012年)衆議院議員総選挙 三重県第3区における比例票
民主党 | 未来の党 | 社民党 | 自民党 | 公明党 | 維新の会 | みんなの | 共産党 | 幸福実現 | |
四日市市(3区) | 16,630 | 3,246 | 1,121 | 14,398 | 7,746 | 10,988 | 4,993 | 3,527 | 303 |
桑名市 | 16,130 | 4,162 | 1,320 | 16,383 | 5,614 | 11,655 | 5,654 | 3,114 | 326 |
いなべ市 | 6,756 | 1,183 | 442 | 6,207 | 2,312 | 3,401 | 1,550 | 1,142 | 94 |
〔桑名郡計〕 | 756 | 168 | 47 | 974 | 398 | 478 | 243 | 235 | 7 |
〔員弁郡計〕 | 3,387 | 781 | 262 | 3,311 | 1,483 | 2,421 | 1,103 | 617 | 50 |
〔三重郡計〕 | 8,408 | 1,660 | 602 | 7,419 | 3,521 | 5,455 | 2,206 | 1,636 | 132 |
52,067 | 11,200 | 3,794 | 48,692 | 21,074 | 34,398 | 15,749 | 10,271 | 912 | |
67,061 | 69,766 | 50,147 | 10,271 | 912 |
自民党候補の桜井氏は小選挙区で約55000票でした。自公あわせて約70000票ある比例区よりも15000票ほど少ない計算になります。
一方岡田氏は小選挙区で約127000票を獲得。民主系の約67000票+第三極の約50000票=約117000票になりますが、このうち6000票ほどが共産党の釜井氏に入っていると考えられますのでその分をマイナスすると約111000票。小選挙区との票差が約16000票。つまり公明党から15000票が流れていると見られます。
そして、この選挙においてこのような擁立であれば岡田氏は負けていた計算になります。
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民主 岡田 63000票
自民(公明推薦) 桜井 70000票
共産 釜井 15000票
維新(みんな推薦) ○○ 50000票
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岡田氏は2012年の民主党地滑り的大敗選挙において、①自民党候補者への公明党の推薦がなかったことと、②維新の立候補者がいなかったおかげで勝てたのです。
第47回(2014年)衆議院議員総選挙 三重県第3区における比例票
民主党 | 生活の党 | 社民党 | 自民党 | 公明党 | 次世代 | 維新の党 | 共産党 | 幸福実現 | |
四日市市(3区) | 19,609 | 770 | 1,037 | 16,501 | 8,757 | 1,134 | 7,591 | 5,359 | 351 |
桑名市 | 19,327 | 897 | 1,091 | 17,964 | 5,859 | 1,086 | 8,090 | 5,115 | 384 |
いなべ市 | 7,653 | 275 | 399 | 7,066 | 2,541 | 263 | 2,092 | 1,655 | 125 |
〔桑名郡計〕 | 907 | 29 | 36 | 955 | 416 | 41 | 370 | 305 | 16 |
〔員弁郡計〕 | 4,117 | 162 | 227 | 3,700 | 1,571 | 155 | 1,542 | 1,021 | 61 |
〔三重郡計〕 | 9,828 | 401 | 464 | 8,506 | 3,879 | 477 | 3,541 | 2,391 | 199 |
61,441 | 2,534 | 3,254 | 54,692 | 23,023 | 3,156 | 23,226 | 15,846 | 1,136 | |
67,229 | 80,871 | 23,226 | 15,846 | 1,136 |
前回よりほぼ横ばいの民主党に比べ、自公が票を伸ばしたことがわかります。岡田氏にとってもより厳しい選挙だったはずです。
ところがまたしても自民党候補者の嶋田氏には公明党の推薦がつかず、約54000票しか得票できませんでした。これは比例区で得た自民党票とほぼ一致します。つまり公明党の23000票は全く入らなかった計算になります。
一方の岡田氏の得票数は約121000票。民主系の約67000票に維新の約23000票を加えても約90000票にしかなりません。公明党票(約23000票)を得なければ不可能な数字です。
そして、この選挙においてもこのような擁立であれば岡田氏は負けていた計算になります。
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民主 岡田 67000票
自民(公明推薦) 嶋田 80000票
共産 釜井 16000票
維新 ○○ 23000票
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■三重3区における民主党・岡田克也の強さの正体
もちろんこれらは机上の数字のパズルにすぎず、選挙区と比例区で投票先が完全に一致することはありません。
しかし岡田氏の無風区といわれるほどの「圧倒的な強さ」の正体は、
①自民党に手を抜いてもらい公明党票をもらうこと
②維新からの刺客候補を送り込まれないこと
(全国各地で落選している多くの民主党議員は、維新やみんなといった第三極に票を奪われていることが大きな要因。そうでない選挙区は民主党にとても有利)
という超恵まれた条件によるものであることがはっきりとしています。
なぜそんなに優遇されるのかについては・・・・・・それ相応の理由があるのでしょう。
え?「旧岡田屋ジャスコの城下町では何党だろうが岡田克也に入れないわけにはいかない」から、そんなうまくはいかないだろうって?
そうかもしれません。しかしそれが理由で岡田氏が選挙に勝てるとすれば、旧岡田屋ジャスコブランドの通用する三重3区でしか勝てないローカルな政治家でしかないということです。
維新やみんなの党のような第三極政党が意図的に小選挙区で民主党の票を奪って自公に勝たせている例はこの記事などを参考にしてください。
みんなの党の役割
http://h09.cocolog-nifty.com/blog/2012/12/post-bab3.html
リチャードコシミズ氏のための小選挙区制度解説
http://h09.cocolog-nifty.com/blog/2013/04/post-71ec.html
(終わり)
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