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少しアップが遅くなりましたが、本日(10月4日)は愛知県小牧市で大注目の住民投票があります。
この住民投票は小牧市の図書館を、いわゆる「TSUTAYA図書館」にするかどうかの是非を問うもです。ご存知の方も多いかもしれませんが、TSUTAYA図書館の先駆けである佐賀県・武雄市、神奈川県・海老名市で蔵書のお粗末さ(TSUTAYA在庫本を税金で処理?)が露呈しており、小牧でどのような結果になるのか大変注目しています。
「TSUTAYA図書館」建設めぐり住民投票 愛知県小牧市で10月4日投開票
http://www.huffingtonpost.jp/2015/09/28/tsutaya-libraly-referendum_n_8206330.html
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レンタル大手「TSUTAYA」と連携した市立図書館建設計画の是非を問う住民投票が9月27日、愛知県小牧市で告示された。10月4日に投開票の予定。朝日新聞デジタルなどが報じた。
小牧市は図書館の老朽化を受けて、既存の商業施設内に新規開設するとしていたが、2014年になって計画を変更。「TSUTAYA」を運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)の助言を受けて、名鉄小牧駅近くに建設するとの新計画を発表した。「TSUTAYA図書館」として話題を呼んだ佐賀県武雄市の図書館と同様に、書店やカフェを併設するもので、建設費は42億円で2018年の開館を目指している。
しかし、市民の間に「図書館の質を落としかねない」などと反対論が広がり、署名を集めた市民団体が8月、住民投票実施条例の制定を山下史守朗(やました・しずお)市長に直接請求した。市長提出の条例案は市議会で否決されたが、これとは別に議員提出の条例が可決され成立した。条例は市長や市議会が投票結果を尊重するよう規定している。
市民団体「小牧の図書館を考える会」(渡辺育代共同代表)のメンバーは市街地でビラを配り「市民の意見を聞かない計画に反対しよう」と訴えた。一方、山下市長は「議論を尽くした計画と考えているが、良い案があれば固執しない」と話す。
有志が「なぜ今、『新図書館計画』の住民投票なのか」というチラシをブログで公開するなど、地域を超えた議論を呼んでいる。
■TSUTAYA図書館に続々と発覚した「選書問題」
「TSUTAYA図書館」は、CCCが指定管理者となる公立図書館の通称。2013年4月にリニューアルした「武雄市図書館・歴史資料館」を皮切りに、2015年4月からは神奈川県の海老名市立中央図書館も、CCCが指定管理者になった。宮城県の多賀城市立図書館でも、2016年3月のJR多賀城駅前の移転を機にCCCが管理を担うようになる。
トップバッターとなった武雄市図書館では初年度は市内外から92万人が来館。同市では経済効果が20億円あったという試算を発表、全国的に注目を集めた。しかし、リニューアル時にCCCが購入した図書1万冊に古い実用書などが多数含まれている問題が発覚した。
この問題の報道が相次いだことを受け、CCCは9月10日、「より精度の高い選書を行うべき点があった事を反省しております」と異例のコメントを発表した。
海老名市立中央図書館も10月1日にリニューアルオープンを控えているが、新たに蔵書になる予定の1万冊の選書リストに古い雑誌や、選定基準の対象外と思われる書籍が含まれていたため批判が集中。海老名市教育委員会の伊藤文康教育長は9月18日、「一時凍結して、選書をやり直す」と答弁、市民に疑念を持たれたことについて謝罪した。
武雄市と海老名市で発覚した蔵書問題が、小牧市の住民投票の行方を左右するのか注目される。
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関連会社から“疑惑”の選書 武雄市TSUTAYA図書館、委託巡り住民訴訟に発展
http://dot.asahi.com/wa/2015090200084.html
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2013年4月に市の図書館運営を全国で初めてTSUTAYAとコラボし、注目を浴びた武雄市図書館(佐賀県)。しかし、そこに並ぶのは「公認会計士第2次試験2001」や、シリーズものだが全巻そろっていない「ラーメンマップ埼玉2」など、出版年度が10年以上前で市場価値が低いものばかり。市民から疑惑の声があがっている。
これらの選書について、市の教育委員会は「TSUTAYAを運営する『カルチュア・コンビニエンス・クラブ』(CCC)に委託して選書していただき、その後、市が確認しました」と話す。CCCに選書した本の購入先について聞くと、こう説明した。
「ネット中古大手『ネットオフ社』より調達。中古流通からの調達は、事前に武雄市にも承諾を得ています」
ネットオフの運営会社とは、10年にCCCが株式の30%を取得したCCC傘下のグループ企業で、なんと疑惑の選書は全て“身内の新古書店”から購入したものだったのだ。
ネットオフに、選書された本の費用や当時の単価について問い合わせたが、期限までに回答がなかった。
ネットオフのHPから、疑惑がもたれている選書の単価を調べてみると、最低価格の108円で購入できるものが多数。1万冊のうち、本誌記者が各ジャンルから抽出した計100冊の平均価格を出すと、なんと一冊あたり“272円”。
「108円は最低価格なので、簿価としては0に近い。ネットの新古書店で流通し、売れなかった本が多数含まれていることになり、公共図書館の蔵書にふさわしくないことは明らかです」(市立図書館の司書)
図書館問題に詳しい慶応大学の糸賀雅児(まさる)教授は言う。
「選書はどんな本であれ、図書館の『裁量権』の範囲と考えられていますが、税金を使う以上、なぜ購入したのか説明責任がある。蔵書の中身より、“20万冊の蔵書”にこだわり、短期間で書架を埋めてオープンに間に合わせることを優先した結果ではないか」
CCCに選書基準を尋ねると、「『趣味実用』『料理』『旅行』『ビジネス』等のジャンルを中心に選書を行い、幅広く導入することを意識した」。「公認会計士第2次試験2001」や“Windows98”の本の選書については、「蔵書の増加にあたっては過去のアーカイブも含めて幅広く選定。結果、『幅広く』を意識しすぎた在庫が一部導入されており、更なる改善の余地があったと反省しています」。
選書が「在庫処分ではないか」という声には、「全くの事実無根」と否定し「初期蔵書入れ替えで導入した1万冊については、開館後に累計8万6500回の貸出実績があり、幅広い読書機会の提供ができていると認識している」と回答。
市民の疑問や不満の声は、選書だけにとどまらない。改修にあたり、書物や視聴覚資料など合計8760点が除籍、廃棄処分された。
「郷土資料『みを』『温泉博士』などが除籍されましたが、これらは県立図書館にも所蔵がない資料で貴重なものだった。さらに、武雄にしかない蘭学資料が詰まった『武雄蘭学館』は、TSUTAYAのレンタルコーナーに改修されてしまったのです」(「武雄市図書館・歴史資料館を学習する市民の会」の代表世話人・井上一夫氏)
蘭学館には、国産第1号の大砲など蘭学資料が常設で展示され、昨年8月には2千点もの資料が国の重要文化財に指定された。電気通信大学の佐藤賢一准教授が、こう解説する。
「明治以前の西洋技術導入の歴史をひもとく武雄の蘭学資料は、非常に価値のあるもの。戊辰戦争の際に明治天皇からいただいた“錦旗”の現物も展示され、全国的に注目度は高かった」
さらに、TSUTAYAのポイントカード「Tカード」が利用でき、自動貸出機を使うと1日1回3円分のポイントがたまるシステムも疑問視されている。
「ポイントがたまって使えるなら、提携している店を自然と利用するようになり、その店を優遇することになる。自治体が設置している図書館だが、結果的に利用者の購買をある特定のお店に誘導しているわけで、公共施設としては公平性を欠いている」(糸賀教授)
選書をはじめ、図書館運営のずさんさに疑問を持った住民らが、市に対し、樋渡啓祐前市長に1億8千万円の損害賠償を求めるよう、訴えを起こしている。
CCCが約3億円、市が約4億5千万円、計7億5千万円をかけてリニューアルした図書館。公共施設の中で最も活用される図書館だからこそ、“住民”を第一に考えることが大切ではないか。
(本誌・牧野めぐみ)
※週刊朝日 2015年9月11日号より抜粋
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武雄市だけじゃない!「リアル図書館戦争」が拡大中
http://dot.asahi.com/wa/2015093000026.html
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本誌が報じた武雄市図書館の問題(9月11日号)が、神奈川県海老名市や愛知県小牧市など各地に飛び火し、波紋を広げている。
TSUTAYAを展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)に市の図書館運営を全国で初めて委託し注目を浴びた武雄市図書館(佐賀県)。お粗末な選書が露呈してCCCが「反省」をしたが、10月1日に改装オープンする海老名市立中央図書館でも、同様の問題が発覚し、懸念の声が上がっている。
大型商業施設が立ち並ぶ海老名駅前から徒歩7分。駅近の一等地に、銀色に輝くおしゃれな建物がその図書館だ。CCCと図書館流通センター(TRC)の共同事業体に運営を委託し、総事業費は10億7900万円。年間利用者目標は100万人だという。
「1日快適に過ごせそうな図書館で活気があって楽しみです」(60代の女性市民)
市民から期待され、順調なオープンと見られていたが、9月17・18日の海老名市議会は紛糾した。質疑に立った飯田英榮(ひでしげ)、山口良樹両市議は「選書がずさんだ」と追及。本誌を読んで「海老名も危ないのでは」と懸念した飯田市議が、市に選書リストの提出を請求し、リストが公表されたのだ。
改装に合わせてテコ入れする約8300冊の選書リストによると、出版社が書店流通で販売する「アイミクロン メガネクロス」や、「『スピードサラダおろし』つき 1日分の野菜がラクラクレシピ」など、図書館で貸し出す書籍とは言い難いものが含まれているのだ。
「リストを見てあぜんとした。書籍でないものや、フライパンやタジン鍋などの付録がメインの書籍、20年ほど前に発行されて現在は休刊になっている女性誌などもリストに含まれ、なぜ海老名の図書館に必要なのか疑問。このままでは『CCCの在庫処分』と言われても仕方ない。市民の税金の使い方を正していかないとなりません」(飯田市議)
どうやって書架にメガネクロスを並べて貸し出すのか。本誌記者もリストにあるメガネクロスを手にしたが、どこからどう見てもただのメガネクロスなのだ。
さらに、海老名市の図書選定基準では、学習参考書やコミックなどが選定対象外だが、リストには『酒のほそ道』などのコミック本も多数見られるという。
このリストについて同市教育委員会は「(リストは)予定リストであり、指定管理者が作成。書店での販売実績などを踏まえ抽出した段階のもの。精査の結果、購入はしません」と断言。市民から不信の声があることについて、市側はこう説明した。
「誤解を招くようなタイトルがリストの中にあったことは申し訳なく思っているが、購入はこれからであり、少しでも疑念を抱かせてしまうような図書は、一切購入しないよう指定管理者と調整していく。武雄市の件を把握した時点で、市教委から指定管理者に、海老名市で同様の事態が生じることがないよう求めているが、今後も引き続き適正な図書館運営がされるよう求めていきたい」
選書リストを見直し、新たに購入してオープンに間に合わせていく予定だというが、山口市議はこう言う。
「リストには不適正な本が多数あり、短時間で精査できるわけがない。オープンを延期し、CCCらとの協定に反する事実があれば、ただちに指定管理業務契約を解除しない限り、市民の理解は得られないと思う」
図書館の根幹である選書をめぐり疑惑の声が上がる海老名市だが、愛知県小牧市でも図書館建設が注目を集める。CCCとTRCの共同事業体と連携した図書館建設計画について、賛成か反対かが問われる小牧市初の住民投票が10月4日に実施されるのだ。
「大事な税金を50億も使って、一企業が思いどおりの図書館にすることに反対」「市長は最小の経費で最大の効果を考えてー!」
23日、小牧の図書館を考える会を中心に、現在の建設計画に反対する市民約50人が、シュプレヒコールを上げて市内を練り歩いた。
建設計画を推進する市側は住民説明会を4回実施。24日の説明会では、開始5分前に反対派の一人がフェアでないと声を上げると、「反対派は出ていけ!」と賛成派の住民と掴み合いになる一幕もあったのだ。
図書館建設計画を議会で追及してきた、小牧市の竹内里美市議が言う。
「現在の図書館は老朽化が進み、耐震性や学習スペースの不足など問題があるので、建て直しをすべきです。しかし、約50億円もの公金を使って、市民に一切説明がないまま図書館の名を借りたTSUTAYAを造ることは間違っている。今の計画を白紙にする署名が、1カ月で約6千人分集められましたが、関心がない市民が多いのも事実。小牧市初の住民投票に興味を持っていただけるよう呼びかけていきたい」
官民連携の図書館に賛否はあるが、そもそも“図書館は公共施設”であり、民間企業は利益を追求するものだ。企業より住民のニーズの優先が、求められるのではないか。
※週刊朝日 2015年10月9日号より抜粋
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衝撃事実発覚 あの樋渡前武雄市長がツタヤ関連企業に天下り!
http://dot.asahi.com/wa/2015081200005.html
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佐賀の改革派として知られる樋渡(ひわたし)啓祐・前武雄市長(45)の“天下り”が発覚し、市民から非難ゴウゴウだ。
2006年に総務官僚から武雄市長に転身した樋渡氏は10年に市民病院を民間社団法人「巨樹の会」へ移譲。12年に市立図書館の管理を、TSUTAYAを運営する「カルチュア・コンビニエンス・クラブ(以下、CCC)」に委託を決定し、話題となった。さらに13年に市内の全小中学生に一人一台タブレット型端末配布を決定するなど、斬新な政策を次々と打ち出してきた。
今年1月には、自民党の推薦を受けて佐賀県知事選に出馬するも落選。
すると、6月に「巨樹の会」の理事に就き、7月にはCCCが設立したスマートフォンを利用してふるさと活性を目指す「ふるさとスマホ株式会社」の代表取締役社長に就任。さらに同月、武雄市地方創生アドバイザーも委嘱されていた。
「市長時の民間委託先の役職に就くのは、天下りではないか。裏切られた気持ちです」(武雄市民の男性)
ネット上や市民から“事後収賄なのでは”という声もあるが、問題はないのか。行政問題に詳しい長瀬佑志弁護士が解説する。
「仮に辞任後の社長就任を市長在任中に約束して不正な行為をしていた場合、刑法197条の3の『事後収賄罪』に問われ、捜査の対象になる可能性がある。そんな約束はなく、違法性がないとしても市民の疑念を招く行為であれば、道義的な問題を指摘されることは考えられます」
そして、全国的に注目されたTSUTAYA図書館をめぐり、7月14日には住民訴訟も起こっていた。
原告代表の川原敏昭氏はこう言う。
「1億8073万円で結ばれた業務委託契約は12年でしたが、見積書の日付が『平成13年』となっているなど非常にずさん。民間では通らないような内容の上、なぜCCCとの契約だったのか不透明な手続きのまま、随意契約で公金が支出されたことはおかしい。9月11日から裁判が始まります」
樋渡氏に就任の経緯や報酬、天下りと囁かれることへの見解を直撃すると、こう答えた。
「取材に応じる時間的余裕が皆無です。年が明けましたら少し落ち着くので、またよろしくお願いします」
一方、自身のメルマガでは、≪武雄市役所のような弱小自治体からCCCのような日本を代表する企業の子会社の社長になったということは、僕的には下克上(笑)≫と悪びれず、つづっていた。
就任先にも経緯を伺うが、「ふるさとスマホ」は期限までに回答がなく、「巨樹の会」は、取材拒否だった。
忙しいのは良いことだが、数々の疑惑に対し、十分な説明をすべきではないか。
(本誌・牧野めぐみ)
※週刊朝日 2015年8月21日号
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武雄市図書館にTSUTAYAの在庫が押しつけられる?
http://togetter.com/li/858068
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http://www.city.komaki.aichi.jp/senkyo/14577/014881.html
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